導入事例「安川情報システム株式会社」

安川情報システム株式会社
SAP S/4HANAの運用基盤にCUVICmc2を採用し
「攻めの事業」に向けて業務プロセスを強化
安川電機グループのIT事業会社として業務システムや制御/組込システムの構築、運用を手がける安川情報システム株式会社。同社は事業形態の変化に対応していくため基幹システムをSAP S/4HANAに統合し、その運用基盤に伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の基幹システム特化型クラウドサービス「CUVICmc2(キュービックエムシーツー)」を採用。インフラ基盤の構築と運用をアウトソーシングしたことで管理負担を削減し、ビジネス変革のスピードを加速させている。

ビジネス形態の変化に即した業務処理を確立

石田 聡子 氏

石田 聡子 氏
安川情報システム株式会社
常務執行役員
業務改革推進本部長

安川情報システムは、安川電機の情報システム部門を分離/独立する形で1978年に設立された。その目的は、安川電機グループのIT事業を拡大するためだ。現在は、ERPを中心とした業務システムの構築、運用、保守等を提供する「ビジネスシステム開発」、創業以来高い技術を培ってきた「組込制御ソリューション」、医療や学校向けの「医療公益ソリューション」事業の3つを柱に展開し、グループ以外の外販比率は8割を超えている。2028年に創業50周年を迎えるにあたって長期ビジョン「Vision50」を定め、新しい市場の開拓、オンリーワン技術の開発、魅力ある製品・サービスの提供の3つを掲げている。

新たな市場の開拓に向けた「攻めの事業」として同社が注力しているのが、制御、組込、ネットワークなどの得意技術を駆使したIoTソリューションだ。工作機械、製造機器、車両、スマートフォンなどから情報をクラウド上に収集/蓄積/分析することで、顧客のビジネス変革を支援している。ソリューションを構成するサービスには、IoTプラットフォームの「MMCloud」、AI/機械学習を駆使した故障予知サービスの「MMPredict」があり、それらを支える回線サービスや通信アダプタも用意してワンストップで提供する。一方でIoTビジネスは、同社がそれまで手がけてきたシステムの受託開発とはまったくビジネスモデルが異なるため、間接業務を支える基幹システムも再構築が必要だった。常務執行役員で業務改革推進本部長の石田聡子氏は次のように語る。
「IoTビジネスの場合、ハードウェアの販売、回線やクラウドサービスの提供、コンサルテーション、カスタマイズとすべてに対応しなければなりません。スモールスタートから徐々に規模を拡大していくお客様も多く、端末や回線の増設、対象地域の拡大、サービスの拡大にも対応する必要があります。そのため、従来の受託開発型ビジネスに対応しながら、新しいビジネス形態にも即した業務処理の確立が求められていました」

既存システムは販売、調達、会計など機能単位で長年かけて自社開発してきた結果、個別最適化が進み、システムの維持開発にも負荷がかかっていた。また、限られたIT要員で、オンプレミス環境で稼動するインフラの運用を行っていたが、老朽化対策など事業に直結しない部分で負荷がかかり、属人化も問題になっていた。
これらの課題を解決するため、新システムではパッケージやクラウド・サービスの積極的な採用を決断。新基幹システムは市場のニーズを取り込んだERPパッケージで統合し、業務プロセスをパッケージに合わせて競争力を高めることにした。さらにインフラの構築と運用をアウトソーシングして数少ない要員を業務改革に集中させ、同時に災害対策や可用性の向上を図ることにとした。

きめ細かな運用支援体制を評価してCUVICmc2を採用

システム選定において、SAPシステムのコンサル/開発/運用支援を手がける安川情報システムがSAPを選ぶのは自然の流れだった。最新のSAP S/4HANAを自社導入することにより、いち早くシステム構築のノウハウを蓄積する狙いもあったという。
アウトソーシングを前提としたインフラサービスには、海外/国内ベンダー3社のIaaSを比較した中から、CTCの基幹システム特化型クラウドサービス「CUVICmc2」を選定。最終的な決め手になったのは、同社が重視するSAP BASIS運用を含めたインフラ基盤の運用支援体制と、スモールスタートが可能であったことだ。

図1:インフラ基盤の運用支援サービス

図1:インフラ基盤の運用支援サービス

「運用支援について、時間によっては英語対応となるIaaSベンダーもありますが、CUVICmc2は夜間/休日の緊急時も日本語で対応いただけることが安心の1つでした。スモールスタートに関してもCUVICmc2は最小スペックから利用ができました。当社が求めていた要件に対して過不足のない提案がいただけたこともポイントになりました」(石田氏)

基幹システムの再構築プロジェクトは2016年4月から本格的にスタート。インフラの設計、アプリケーション開発、システムテスト、運用テストなどを経て、2017年の春から夏にかけての本稼動を予定している。

CUVICmc2によるインフラは、SAP S/4HANAの稼動に必要なリソース量をCTCとともに検討し、必要なメニューを構成した。
「開発機、検証機、本番機の構成やリソース量については、実績のあるCTCにお任せし最適な環境を設計、構築していただきました。サービス課金体系は従量制でなく、一定のリソース量を確保する定額制を採用しています。ただし、小さく立ち上げて、開発の佳境期にはリソースを増やしてパフォーマンスを確保し、定常運用時はトランザクション量に応じた最適値を維持するといったように、一定期間ごとに構成やリソースの上限を見直せるようになっています」(石田氏)

業務改革への集中とスピード実行が可能に

図2: 現行システムから新システムへの移行内容

図2:現行システムから
新システムへの移行内容

CUVICmc2の採用によってインフラ基盤の構築と運用をCTCにアウトソーシングした結果、当初の狙いである業務改革への集中が可能になり、事業の変化にもスピーディに対応できるようになった。要員のスキルに依存することもなくなり、属人化も解消されると見ている。サービスとしてメニュー化された複数世代のローカルバックアップに加えて災害対策(CTCの神戸のデータセンターにプライマリー環境、横浜のデータセンターにセカンダリー環境)も選択したことで設計工数をかけずに事業継続性を確保している。

今回、SAP S/4HANAの本稼動と併せて、営業支援、経費精算、BIツールなどのシステムが強化・刷新されることで、間接業務の効率化/省力化、新しい事業モデル・契約形態への対応、業績管理・採算管理の強化などが進むことが期待される。石田氏は「システムの都合で発生していた業務から社員を解放することで真の業務課題の発見につながり、社員1人ひとりの成長にも結びつくと考えています」と期待を寄せる。

新規事業を支える業務システムも「攻めのIT」

SAP S/4HANAが本稼動を迎えた後は、SAPアプリケーションの運用/保守に安川情報システムグループが顧客向けに提供しているアウトソーシングサービス(AMS)を社内でも活用することを検討している。複数の企業のSAPアプリケーション保守を一括して担当するAMSを活用することで属人化を解消し、コスト軽減を図る狙いがある。

業務改革を進めるうえで、乗り越える壁は他にもある。複数のビジネスモデルを扱う中では新しい業務フローにおいて部門や事業による違いが出てきたり、従来の規定では想定していなかった業務プロセスも発生する。そこで今後は、状況に応じて業務の標準化やルールの整備、内部統制の見直しなどを進めていく予定だ。

システム面では、基幹システムの枠外で部門や個人が処理しているExcelベースの帳票作成業務も見直し、加工が必要なものについてはSAP S/4HANAの仮想テーブルとBIツールを利用したエンドユーザーコンピューティングに移行していくという。

ビジネスモデルが従来の「モノ売り」から「サービス提供」にシフトしていく流れにある中、ITに求められる役割も社内の省力化/コスト軽減を目的とした守りのITから、新規事業への投資や既存事業の改革を目指す「攻めのIT」に変化している。「IoTやAI/機械学習などの新技術活用が注目されていますが、新しい事業を支える業務システムもまた攻めのITだと考えています」と石田氏が語るように、業務変革は攻めのチャンスともいえそうだ。

会社概要

安川情報システム株式会社

設立:1978年2月1日
資本金:6億6,400万円
売上高(連結):122億7,500万円(2015年度実績)
従業員数(連結):611名(2016年12月20日現在)
事業概要:ビジネス・ソリューション事業、組込制御ソリューション事業、医療・公益ソリューション事業を通して企業の戦略的情報システム構築を支援
http://www.ysknet.co.jp/

パートナー企業

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社