経営戦略を支えるシステム高度化事例

次世代SAPテクノロジーの活用に取り組む企業を
富士通の豊富な知見を活かして包括的にサポート(第2回)

ケース2:イーグル工業株式会社
SAP S/4HANA移行に向けて富士通のPoCサービスを活用

徳田 晋一 氏

徳田 晋一 氏
イーグル工業株式会社
経営企画室 副室長

荒井 俊成 氏

荒井 俊成 氏
イーグル工業株式会社
経営企画室 IT一部
EBIS三課 課長

自動車、船舶、飛行機などの輸送用機器や各種プラント向けのポンプなどに使われるメカニカルシールのトップメーカーとしてグローバルに事業を展開するイーグル工業株式会社。同社は2013年に国内の事業部門にSAP ERPを導入後、富士通の支援を受けて他の拠点にも展開。さらに2017年度〜2019年度の計画でSAP ERPのグローバル統合に向け、アジア、欧州、アメリカへの展開を進めている。一方で、SAP S/4HANAへの移行検討も開始した。

「更新系と情報系のデータベースがSAP HANAで統合されて開発性が高まり、リアルタイム処理が実現すること、ユーザー操作画面が改善されること、AIの活用において財務の入金消込処理におけるSAPのデジタル化ソリューション(SAP Cash Application)との連携などへの期待も含めて、SAP S/4HANA移行に向けたPoCの実施を決めました」と、経営企画室 副室長の徳田晋一氏は語る。

同社は2011年より情報基盤のインフラネットワークの構築運用に関わり、SAP ERPのAMO/ITOサービスでアプリケーションとBASISの運用を委託している富士通に相談。富士通がリリースしたばかりの「SAP S/4HANA PoC支援サービス」を採用して操作性や既存資産への影響などを確認することにした。

「自社の要員がSAP ERPの海外展開プロジェクトに注力している現在は、十分なリソースの確保も難しい状況です。そこで当社の業務に基づくSAP S/4HANAの評価を要員含めて任せられること、富士通から月額サービスとして提供されるクラウド環境とSAP S/4HANAライセンスを使用することで、自社でライセンスを購入することなく実施できることを評価して、PoC支援サービスを採用しました」(徳田氏)

PoCのプロジェクトは、2017年12月〜2018年3月の4カ月間で実施。富士通のIaaS環境にPoC環境を構築し、イーグル工業で稼動しているSAP ERPのシステムデータをインポート。次にPoC環境をSAP S/4HANAにコンバージョンして検証作業を実施する流れだ。経営企画室 IT一部 EBIS三課 課長の荒井俊成氏は次のように説明する。

「シナリオは当社の代表的な事業部のものをロジスティクス関連(SD/MM/PP)で10個、会計関連(FI/CO)で14個をピックアップして試しました。データはトランザクションも含めてすべてコピーしています。検証では、標準機能の互換チェック、簡易的な業務検証、SAP社提供のBest Practiceと当社で作り込んだ帳票・SAPクエリを中心としたアドオン(国内500本/海外130本)の検証、ダウンタイムの計測、パフォーマンスチェックを実施しました」

ダウンタイムの把握により移行スケジュールが具体化

PoCサービスを利用した結果、イーグル工業では実データに基づくSAP S/4HANAへの移行に伴う影響を確認し、概算対応工数も算出することができた。「更新系、内部のAPI系、レポート系までひととおり確認ができ、富士通からはギャップを解消する解決策もいただきました。パフォーマンスについてもSAP S/4HANA 用チューニング前のレベルで確認できて感触をつかむことができました」(荒井氏)

今後の移行に向けては、ダウンタイムが把握できたことが特に大きいという。「工場の生産を止めないためにも、移行時のダウンタイムに注目していました。今回の検証環境上では4日間必要とわかったことで、今後の移行に向けてベストな解決策を検討していきます」(徳田氏)

「SAP S/4HANAへの移行にかかる工数・スケジュール・費用が把握できたことで、移行スケジュールについても計画が固まったという。今後は、現在富士通データセンターで運用しているインフラ環境のクラウド化を検討している。その場合、SAP S/4HANAへのコンバージョンはクラウド環境で行う見込みとなる。

「富士通のAMO/ITO チームにはSAP ERPの導入から4年間、困ったことに対して何でもフランクに相談に乗っていただき助かっています。当社の業務への理解を深めた上で適切なアドバイスをいただけていますので、SAP S/4HANAへのコンバージョンも含めて、さまざまな支援に期待しています」(荒井氏)

世界規模でデータの共有、リアルタイム活用を進めるイーグル工業では、さらなる情報活用に向けたチャレンジを今後も続けていく。

会社概要

イーグル工業株式会社

設立:1964年10月
資本金:104億9,098万円
従業員数:6,400名(2018年6月26日現在)
事業内容:各種メカニカルシール、特殊バルブ、プラント機器、舶用製品、金属ベローズ応用品等の製造/販売 並びに機械器具設置工事等上記に付帯する業務
https://www.ekkeagle.com/

ケース3:大和ハウス工業株式会社
海外拠点へのSAP S/4HANA Cloud導入に向けたPoCを実施

松山 竜蔵 氏

松山 竜蔵 氏
大和ハウス工業株式会社
情報システム部 部長

広く知られた総合住宅メーカーであり、商業施設や都市開発、環境エネルギー事業などにも事業領域を拡げる大和ハウス工業株式会社。現在同社では、海外拠点の会計システムをSAP S/4HANA Cloudで整備する取り組みを進めている。これはビジネスの成長スピードに対応した情報基盤整備の一環だと、情報システム部 部長 松山竜蔵氏は語る。

「海外進出国はすでに20カ国(2018年9月末時点)に達しており、事業成長のスピードと経営ガバナンスのギャップをいかにITでサポートしていくかが大きな課題です」
会計システムに求められるのが、リアルタイムで経営情報を把握する、リスクの予兆をいち早く感知するといった「同時性」だ。大和ハウス工業単体だけでなく、グループ会社もこぞって海外への進出を進めているため、経営状況のリアルタイム把握が可能な情報基盤は必須だ。しかし、各拠点に合わせて個々に開発/導入する従来の手法では、時間も費用もかかり過ぎる。標準化された業務機能をすぐに導入できる仕組みが必要だった。

「クラウド型ERPなら初期投資を抑えられますし、ビジネスのニーズに応じてスピード感を持って立ち上げられると判断しました」(松山氏)

グループの基幹システムとしてSAP ERPを利用している大和ハウス工業にとって、情報基盤の一元化とシステム間連携を図る上で、SAP S/4HANA Cloudの採用はごく自然な流れだった。また、富士通がSAP S/4HANA Cloud導入パートナーに選ばれた背景には、2012年に大和ハウス工業がレガシーの会計システムをSAP ERPへ移行した実績への評価と長期にわたる信頼関係があった。

富士通のPoC支援を活用して多くのハードルをクリア

実際にSAP S/4HANA Cloudに触れてみると、従来のERPとはまったく別物だったと松山氏は印象を語る。

「プロジェクト冒頭でSAPからの説明を聞いた時点で、従来のERPと同じに考えていては導入できないとわかりました。構築手順もオンプレミスとはまったく違うし、3カ月に1度のペースでバージョンアップが行われ、次々と新しい機能が登場する。しかもユーザーがカスタマイズできる部分は、ほとんどない。『これは新しい方法論が必要だ!』と痛感しました」

オンプレミスでの経験が応用できない課題を一つひとつ確認しながら解決するため、同社は富士通からSAP S/4HANA CloudのPoC支援を受けることにした。

「継続的に海外展開していくことを考えると、このPoC支援を受けてしっかり検証した上で、慎重に進めていくのが賢明だと富士通とも一致しました」(松山氏)

SAP S/4HANA自体が最新のプロダクトで、やってみないとわからない部分が多い。課題が発生するたびに「富士通のPoC担当者が、まさに『格闘』してくれた」と松山氏は振り返る。「海外拠点の現地ユーザーもマニュアルもすべて英語の環境でも、常時コンタクトを取って、導入作業を前へ進めてくれました」

会計データに基づく経営戦略ツールを目指し、さらなる進化を

大和ハウス工業のSAP S/4HANA Cloud導入第1号となった拠点がマレーシアだ。すでに開発や現地の会計担当者のトレーニングも完了し、新しい会計年度の始まる2019年1月の利用開始を待つばかりだという。
同社は今後、SAP S/4HANA Cloudによる新しい会計システムを世界中の拠点に展開し、連携させたいと考えている。それによってリアルタイムの管理連結を実現し、会計データをもとにした経営状況の迅速な把握と経営判断を可能にするのが目標だ。

「当社の掲げる『創業100周年に売上高10兆円』の実現に向けてドライブできる仕組みを準備しておく必要があります」と展望を語る松山氏。半世紀先のさらなる成長に向けて、大和ハウス工業は着々と情報基盤を進化させている。

次世代SAPテクノロジーの活用に取り組む企業を富士通の豊富な知見を活かして包括的にサポート(第1回)

会社概要

大和ハウス工業株式会社

創業:昭和30年4月5日(設立:昭和22年3月4日)
資本金:1,616億9,920万1,496円
従業員数:16,275名(平成30年4月1日現在)
事業内容:建築事業、都市開発事業、海外不動産開発事業、環境エネルギー事業、医療・介護ロボットの販売など
https://www.daiwahouse.com/

パートナー企業

富士通株式会社
富士通株式会社

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